静岡県磐田市にある磐田市香りの博物館では、2025年4月5日(土)から6月22日(日)まで企画展「世界のとびだす絵本展」を開催。
同展では国内はもとより海外の「とびだす絵本」の展示だけではなく、実際に手に取って見ることも可能です。もちろん同館ならではの香りの体験も。大人も子どもも楽しめる大人気の企画展を、本記事では写真多めでご紹介します。
磐田市香りってなに? どこにあるの?
JR豊田町駅からまっすぐ北へ約370メートル。1997(平成9年)年に開館した「磐田市香りの博物館」は、全国的にも珍しい「香り」をテーマとした公立の博物館です。
外観は鮮やかな青緑色をした2F建ての建物で、常設展のほか年に数回ほど企画展が行われ、オリジナルフレグランス作りが体験できる「香りの体験コーナー」や香りのアイテムが購入できる「ミュージアムショップ」が併設されています。
磐田市香りの博物館の公式サイト(外部リンク)

「世界のとびだす絵本展」は令和7年度の春季特別企画展で、前の企画展は「磐田市香りの博物館のかたち」展~パルファンミュージアムのコレクション~、次は夏季特別企画展「マツオヒロミ展 レトロモダンファンタジア」です。
窓口でチケットを購入し(私は2024年末に購入した年間パスポートを提示)、2Fにある企画展の会場へ。…の前に、親子連れが見つけた顔ハメを撮影してしまいました。
うわあ…。ここからすでに「とびだす絵本」の世界が始まっているのね。これは楽しみですっっ。
『不思議の国のアリス』の大きなフォトパネルがお出迎え

2Fでは同展のキービジュアルとなる『不思議の国のアリス』(C.S.ルイス作 / ロバート・サブタ絵)の大きなフォトパネルが出迎えてくれました。
「しかけ絵本」を手に取れるモニター前スペース

大きなフォトパネルの右側にあるモニター前スペースは「人気作家のしかけ絵本」「しかけ絵本閲覧コーナー」となっていて、直接「しかけ絵本」を手に取り楽しめるようになっていました。

この場所に展示されているのは『シンデレラ』(マシュー・ラインハート)や、『ナルニア国物語』(C.S.ルイス作 / ロバート・サブダ絵)、『ドラゴンとモンスター』(ロバート・サブダ)など、見ているだけでワクワクするしかけ絵本ばかり。
たとえばクリスマスの絵本は、めくるたびにクリスマスツリーの世界が飛び出してきます。

そしてこちらの『きんきらきんのはでなやつ』(デビッド・A・カーター)は…

さまざまなモノが飛び出してびっくり! とにかくキンキラキン!
『シンデレラ』はシンデレラの話に沿って、かぼちゃの馬車やキレイなドレスを着たシンデレラが立体的に飛び出します。
しかけ絵本はすべて紙製なので大切に扱ってくださいね。
フォトパネルの裏側もしかけ絵本の閲覧コーナー

フォトパネルの裏側もしかけ絵本の閲覧コーナーに。
『不思議の国のアリス』にちなんだイラスト等が飾られているため、一瞬、アリスのしかけ絵本を集めたコーナーなのかと思いましたが、主に乗り物に関連した絵本が並んでいました。
左側に立てかけられている『いけいけゴーゴー!レーシングカー』(ドーン・ベントレー)は、穴あきタイプの人気のしかけ絵本です。

『おおきなディガー』(ポール・スティックランド作)は開くと大きなクレーン車が土埃とともに、どど~ん! と大迫力で飛び出します。この飛び出し方って、よく考えたよね…。

同コーナーの右隅にはメリーゴーラウンドタイプの小さなしかけ絵本『ツリートップフェアリーズ もみのきパーティへようこそ!』(マギー・ベイトソン作 / ルイーズ・コンフォート絵)が飾られていました。
メリーゴーランドタイプの絵本は折り畳んだ状態だと普通の絵本ですが、ページをめくるとこのようメリーゴーランドのように広がり、「世界のとびだす絵本展」では何冊か展示しています。
これはもう「絵本」の域を出てると思う。

フォトパネルの裏側展示と窓辺の間にもしかけ絵本閲覧コーナーがあり、来館者の足を留めていました。
香りの体験は窓辺の展示からスタート

窓辺には『花の神殿』(キース・モーズリー作 / パトリシア・ウィッティカー絵)に描かれている水仙、スミレ、カトレア、ローズ、ひなぎく(デイジー)の花の香りが楽しめるようになっていました。
そう、磐田市香りの博物館の企画展示では、展示品に合った内容の「香り体験」ができるんです。
体験方法は香りの粒が入っているガラス容器の蓋を開け、その香りを嗅ぐだけですが、なかには香りが強いものもあるので、蓋の裏側に鼻を近づけて香りを楽しむのがお勧めです。
※すべての作品で香り体験ができるわけではありません
『不思議の国のアリス』の大型ポップアップは迫力満点!

企画展示室の手前にはキービジュアルとなる『不思議の国のアリス』の大型ポップアップが。
どど~ん! と大迫力の大きさを実際に確認してみて!

向かいの壁には、同作のストーリー順に本が開かれた状態で展示され、展示ケースの上には登場人物紹介も。
森は二重にも三重にも木々が重なり、家は建物の形はもちろん、屋根や窓のほか煙突も立体的に飛び出し、さらにもがいているアリスの様子も表現されています。

展示ケースの右端にある本は実際にページをめくれるようになっていました。このトランプの飛び出させ方って、どうやって作ったのかなぁ?

『不思議の国のアリス』の香り見本はアリスの香りと帽子屋の香りの2種類。どちらも彼らをイメージした香りです。私は後者の香りの方が好みかも。
『ピーターラビットのおはなし』などが並ぶ香りの企画コーナー
ではでは、香りの企画コーナーへ。

香りの企画コーナーでは『ピーターラビットのおはなし』(ビアトリクス・ポター)をメインに、乗り物や動物、大型のしかけ絵本などが展示されていました。

同コーナーに入って正面隅には、しかけ絵本となった『ピーターラビットのおはなし』の第1作目が。

同作は19世紀末の誕生以来、多くの人々に愛される可愛らしいキャラクターで人気の作品で、今回の企画展では、数種類のしかけ絵本が楽しめます。
香りの企画コーナーの香り見本は6種類あり、すべて『ピーターラビットのおはなし』に出てくるキッチンハーブ等のポプリです。
小学生の頃にポプリに出会った私は、当時「ラベンダーとカモミール以外は入手しやすい点が嬉しかった」ことを思い出しました。あの頃、ラベンダーとカモミールは通販を利用しないと買えなかったんですよね…。


同コーナーではピーターラビットのしかけ絵本のほか、飛行機や列車、船などの乗り物や、犬や猫をテーマにしたものやメリーゴーランドタイプのしかけ絵本などが揃っていました。なかには、開くと恐竜が飛び出すものも。
しかけ絵本の種類はさまざま。飛び出すタイプをはじめ、つまみを引くと変化したり穴あき部分を覗いて次のページ展開を想像したり。
普段の生活ではなかなか体験できないことを、この機会にぜひどうぞ。
年代物や大型作品は香りの展示室内に

隣接する香りの展示室への通路両側には、しかけ絵本の基礎知識や種類について学べるようになっていました。
一時期、趣味で簡単なポップアップカードを作っていたことがあるので、いつかきちんと学んでみたいな。
香りの展示室へ入ってすぐの壁も『不思議の国のアリス』です。

香りの展示室内は作品も展示パネルもすべて展示ガラスの向こう側に。
同室の入り口には、のぞきからくりの『パレ・ロワイヤル』(復刻版)が展示されています。
正面に開いた3つの穴それぞれから中を覗くと、パリきっての盛り場であるパレ・ロワイヤルの賑やかな様子を見ることができます。伸ばした蛇腹部分に描かれたイラストが遠近感をともなって現れるので、覗いて見てくださいね。

展示されている作品のなかには浮世絵をもとにしたものも。
上の画像の「神奈川県沖浪裏」(『冨嶽三十六景』葛飾北斎)は遠景の富士山と、手前の大波や波の間の船との対比を紙を重ね立体感を出すことで、さらに迫力が増しています。
展示ガラスの手前に「富士山の香り」をイメージした香り見本があるので、気になる方は嗅いでみてくださいね。私は割と好みかも。
そのほか、こちらの展示ケースの中には、富士山をテーマにしたしかけ絵本もあり、『360°BOOK 富士山』(大野 友資)は1Fのミュージアムショップで購入可能ですよ。
「名作復刻版しかけ絵本」や「世界のしかけ絵本」は一見の価値あり!

「名作復刻版しかけ絵本」には「しかけ絵本の父」と呼ばれる、ドイツの絵本作家ロタール・メッゲンドルファーの作品が。
『Das Puppenhaus』(復刻版)は彼の代表作のひとつで、本を開くとドールハウスのように展開します。
香りの展示室内は作品も展示パネルも展示ガラスの向こう側なので、実際に手に取ることはできませんが、その分、落ち着いて鑑賞できます。

そのほか、のぞきからくりの『ヴェルサイユの庭園』(復刻版)や、『THE WHITE HOUSE』 (チャック・フィッシャー)など大きくて立派なしかけ絵本も陳列。
さらに「世界のしかけ絵本」では、『ガウディ ポップアップで味わう不思議な世界』や『レオナルド・ダ・ヴィンチ ポップアップで味わう不思議な世界』、海賊船が海獣に襲われている様子を描いた『PIRATE SHIP』(ニック・デンチフィールド)など大作が並んでいます。
ここには「恐竜の森の香り」と「宇宙の香り」をイメージした香り見本があるので、こちらもお試しを。ちなみに私は、前者は苦手な香りで後者は「宇宙ってこんな感じなのかなあ…?」と思いました。

香りの展示室中央の展示ケースに飾られている『The POP-UP BOOKS of SHIPS』(デビット・ハンコック / エリック・ケントリー)の見開きページの戦艦は迫力満点!
上から見ても良し、真横や斜め上から見ても良し。お好きな位置からご覧ください。
磐田市香りの博物館で「世界のとびだす絵本展」は6/22(日)まで好評開催中。
子どもの頃に憧れていた「しかけ絵本」の一種「飛び出す絵本」に憧れていた方もそうではない方も。また、ひとりでも親子連れでも仲間同士でも楽しめます。
基本情報(開催情報)
2025年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事は無断転載、改変およびAI学習禁止です。(麻生のりこ)